有効期限は2036年3月末まで10年間延長 女性活躍推進法改正のポイント
2026年4月1日に改正女性活躍推進法が施行されました。
ここでは、女性活躍推進法の歴史を振り返るとともに、今回改正となった情報公表義務の拡大、女性の健康上の特性に留意して行われるべき旨の明確化のポイントを踏まえて、対象企業が取るべき具体的な実務対応を確認します。
女性活躍推進法とは
女性活躍推進法は、2015年に制定され、10年間の時限立法として翌2016年4月1日に施行されました。
当時、少子高齢化による労働力人口の減少が推定されるなか、女性に関して、就業率と潜在的労働力率の乖離や非正規雇用主体の就業形態、国際的に低い女性管理職の水準などが課題となっていました。
その根底には、長時間労働と固定的な性別役割分担意識の問題があり、以降、成長戦略として女性活躍の推進が図られてきました。
女性活躍推進法は、男女共同参画社会基本法の基本理念に則り、「女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図る」ことを目的としています。
女性に対し採用、昇進などの機会を積極的に提供・活用すること、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能とする環境整備を行うこと、両立支援に関して本人の意思を尊重することが重要であるとしています。
具体的な施策としては、一定の企業に対し、自社の女性の活躍に関する情報について「一般事業主行動計画(以下、行動計画)」の策定を求め、届出・周知・外部への公表が義務づけられています。
女性活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣が認定する「えるぼし」を受けることができる認定制度が設けらています。
2022年改正法とその後
2022年4月には、2019年6月5日改正公布に基づき、行動計画の策定及び情報公表義務の対象が、常用労働者301人以上から101人以上の企業に拡大されました。
また同年7月8日には、省令改正・施行により、情報公表項目について、新たに「男女間賃金差異」が追加。
常用労働者数301人以上の企業に対し義務化されました。
厚生労働省によると、改正法施行後も、男女間の賃金差異は依然として大きく、その要因は、役職や勤続年数の違いであることが報告されています。
また、女性管理職の割合も長期的に見て上昇傾向にあるものの、依然として国際的に見ると低水準であることが課題として残っていました。
さらに、「働く女性の健康推進に関する実態調査2018」(経済産業省)によると、調査対象の半数以上の女性が、月経関連の症状や疾病、更年期障害など女性特有の健康問題により困った経験があると回答。
女性従業員の約4割が、女性特有の健康課題により、正社員として働くことや昇進など責任の重い仕事に就くことをあきらめた経験があると報告されています。
こうした状況を踏まえ、2025年6月11日に女性活躍推進法のさらなる推進を図ることを目的とした改正法が公布。
有効期限も10年間の延長が決定しました(2036年3月31日まで)。
2026年4月1日の改正法施行では、情報公表義務の拡大として、常用労働者数301人以上の企業は「女性管理職比率」の公表が、101人以上の企業は「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が新たに義務となっています(図表参照)。
さらに、女性活躍推進法の基本原則において、女性活躍推進は、女性の健康上の特性に留意して行われるべき旨が明確化されました。
なお、常用労働者数100人以下は努力義務となっています。

行動計画策定のポイント
女性活躍推進法において、対象企業が策定すべき行動計画とは、自社の女性活躍に関する情報について、状況把握、課題分析を行い、計画期間と数値目標、取り組み内容、取り組みの実施時期を定めたものです。
行動計画は、電子メールや企業内ネットワーク、書面での配布などの手段より、すべての労働者に周知した上で自社のウェブサイトなどを通じて外部へ公表する必要があります。
策定・変更した行動計画は、電子申請、郵送または持参により、都道府県労働局に届け出なければなりません。
取り組みの実施については、定期的に数値目標の達成状況や実施状況を点検・評価し、その結果をその後の取り組みや計画に反映させ、PDCAサイクル(計画<Plan>、実行<Do>、評価<Check>、改善<Action>)を確立することが重要となります。
行動計画の策定にあたっては、男女雇用機会均等法に違反しない内容となっているかを確認する必要があります。
募集・採用・配置・昇進などにおいて、女性労働者を男性労働者に比べて優先的に取り扱う取り組みについては、雇用管理区分において女性の割合が4割を下回っているなど一定の場合以外は、法違反として禁止されています。
また、新たな考慮要素となった職場における女性の健康支援については、プライバシー保護に留意した上で、男女の性差を踏まえ、行動計画に位置付けて取り組みを推進することが重要です。
情報公表のポイント
女性の活躍に関する情報を自社ウェブサイトなどで公表することは、求職者の企業選択に資するものでもあります。
えるぼし認定を受けた企業については、認定マークの活用により、女性が活躍しやすい企業として企業イメージの向上や優秀な人材の確保につながることが期待できます。
厚生労働省では、行動計画に関する外部への公表や自社の女性の活躍に関する情報を公表する際には、厚生労働省が運営するサイト「女性の活躍推進企業データベース」を活用することを推奨しています。
女性の活躍推進企業データベースでは、全国の企業が自社の行動計画や女性の活躍状況に関する情報を公表しており、学生や求職者もアクセスすることができます。
情報公表にあたっては、「男女間賃金差異」や「女性管理職比率」の指標の大小自体のみに着目するのではなく、要因や課題の分析を行い、改善に向けて取り組んでいくことが重要です。
企業からのメッセージとして、女性の活躍推進企業データベースの「注釈・説明欄」を活用して、課題改善に向けた取り組みなど、追加すべき情報や補足的な情報を公表することは、企業の差別化を図る点で有効となります。
留意点
女性活躍推進に向けて取り組みは、経営トップ層の決意表明をはじめ、組織全体の理解の下に進めることが鍵となります。
必要に応じて、労働者や労働組合などにアンケート調査や意見交換会を実施するなど職場の実情把握に努め、幅広く男女従業員の理解と協力を得ながら取り組んでいきましょう。
また、社内に女性管理職のロールモデルがない企業においては、男性従業員と同様に、女性従業員を育成、登用することも重要です。
女性が継続就業できる職場環境を整えることは、モチベーションの向上や人材の確保・定着など企業の成長を支える礎となり、社会全体の活力へとつながります。









