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厚生労働省が企業や労働者を対象に調査を実施「働き方改革関連法案施行後5年の総点検」の要点

投稿日:2026年6月26日(金)

「働き方改革関連法」は、施行5年後に総点検を実施し、その調査結果を踏まえて労働政策審議会などで労働基準法制の見直しを行うことが規定されています。
2026年3月に公表された調査結果から、企業ヒアリング調査の結果に注目して働き方の変化を見ていきましょう。

働き方改革の目指すもの

「働き方改革」とは、働く人が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。
2019年4月以降、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(以下、「働き方改革関連法」)による改正後の労働基準法は順次施行されてきました。
働き方改革を推進する上で必要となる施策は、次の2つに大別されます。

1つ目は「労働時間法制の見直し」です。
働き過ぎを防ぐことで働く人の健康を守り、多様なワークライフバランスを実現することを目的としています。
代表的な施策としては、時間外労働の罰則付きの上限規制、年5日の年次有給休暇の取得義務、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の引き上げ、労働時間の客観的把握義務などが挙げられます。

2つ目は、「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」です。
同一企業内における正社員と非正規社員の間にある不合理な待遇差をなくすことを目的としています。
施策として、裁判の際に判断基準となる「均衡待遇規定」と「均等待遇規定」を法律として整備し、待遇ごとの判断を明確化するためのガイドライン(指針)が策定されました。

また、行政による事業主への助言・指導などに関する規定が整備され、「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」についても、行政裁判外紛争解決手続(行政ADR)の対象となっています。

施行後5年の総点検

「働き方改革関連法施行後の総点検」とは、2025年に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」などに基づき、働き方の実態とニーズを把握することを目的とした調査です。
厚生労働省は2025年10月に、労働時間などに関する意識・意向を把握するため、労働者を対象としたアンケート調査を実施。
さらに同年10月から12月にかけては、働き方改革における対応状況や課題認識などについて「生の声」を把握するため、全国の都道府県労働局において、企業ヒアリング調査が実施されました。
2024年4月1日より建設業と自動車運転業務に時間外労働の上限規制が適用されたことを受け、対象企業は建設業及び運輸業・郵便業をはじめ、製造業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉等の327社となっています。

企業ヒアリング調査結果1

現状の労働時間に関して、「現状のままがいい」と希望する企業は約60%であり、その理由として90%近くの企業が人材確保やDX化、受発注構造の整備、時間外労働の短縮などに取り組んでいるため、としています。
他には、労働者の健康確保・ワークライフバランスや人材確保・定着の観点から、無理のない範囲で働きやすい職場の構築を望んでいることがわかります。

「減らしたい」と回答した企業は約22%でした。

人件費の抑制や人材採用の面、労働者の健康保持や介護・子育てを優先できる環境を整備するため、といった理由から時間外労働を極力減らすことを希望しています。

一方で「増やしたい」と回答した企業は約16%。

そのうち臨時的な特別の事情による上限規制(以下、特別条項)の枠内での増加を希望する企業が約47%、特別条項の枠を超えて増加を希望する企業が約32%、原則の上限規制を超える増加を希望する企業が約20%となっています。
理由として、建設業及び運輸業・郵便業、製造業においては、酷暑、豪雨、積雪など天候の影響や計画の変更による作業の遅延、繁忙期について上限規制の枠内では対応が厳しいとの声が挙がっています。
また上限規制を考慮するが故に受注を断らざるを得ないケースや、人手不足も相まって客の受け入れを制限せざるを得ないケースがあると回答しています。

一方で、稼ぐためにもっと働きたいという労働者の希望や仕事の完成度、技術の向上において上限規制が及ぼす影響に危機感を募らせる声も挙がっています。

いずれにせよ、上限規制の枠を超えて働かせることは、労働者の健康管理や安全面から、必ずしも肯定的ではないとの認識は共通しているようです。

企業ヒアリング調査結果2

割増賃金率の設定状況については、約90%の企業が法定通りに設定しているとしています。
製造業の企業では、労働者の負担に報いるため、一律に法定より高い割増賃金率を設定しているケースもあります。
上限規制を超える時間外労働に対しては、「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」において、法定である25%を超える割増賃金率とする努力義務が記載されています。

特別条項適用時において、法定を上回る割増賃金率を設定している企業は、製造業や運輸業・郵便業にて確認することができます。
さらに、深夜割増賃金率(法定25%)について、運輸業・郵便業においては、深夜勤務の負担や人材確保の観点から、3交代制の作業員に対してのみ50%に設定している企業も報告されています。

企業ヒアリング調査結果3

労働基準関係法に対する課題・要望については、制度の簡素化や周知徹底を可能とする手段の必要性が挙げられています。
また、上限規制の厳守については、受注者だけでなく発注者の協力も必要不可欠であること、法律を遵守する上で厳しい受注条件を考慮した施策の検討など、取引慣行の改善に関する意見が挙げられています。

労働基準監督署による監督指導については、是正報告書作成に対する事務負担が大きいこと、荷待ち時間や荷受け時間を減少するには集配業者ではなく元請に対して重点的な指導を希望すること、勤怠管理に関する細かすぎる指導への改善などが求められています。
その他、裁量労働制や変形労働時間制、副業兼業について、制度の明確化や実情に沿ったわかりやすい運用を希望する声が挙げられています。

企業ヒアリング調査結果4

働き方改革関連法施行後の取り組みや影響については、勤怠管理の見直しによる労働時間の意識向上に伴い、業務調整や人員調整が可能となったこと、テレワークや電子決済の導入などDX化による労働環境改善で個々の事情に応じた働き方が可能となったことなど、労働時間の削減に向けた企業全体の意識の醸成が挙げられています。

また、変形労働時間制や時間単位年休などの制度の活用、ダブルワークや高年齢者の登用、多能工化を目的とした従業員教育などにより、柔軟で多様な働き方が可能になったことで職場の満足度が向上したという声も。
それらからは、働き方改革を通して働きやすい職場環境が整備されている現状を読み取ることができます。

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