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勤怠管理の法的義務、就業規則の見直し等 テレワーク導入におけるルールの作り方

投稿日:2026年2月27日(金)

テレワークは、新型コロナウイルスの感染拡大への対応策として推奨されて以降、急速に普及しました。

現在は一部企業で縮小ないし中止する動きがあるものの、多くの企業や団体では日常的な働き方へと変化しています。

ここでは、テレワークを実施する際の労働時間の取扱いについて確認します。

テレワークの有用性と課題

テレワークは、情報通信技術を利用し、時間や場所を有効に活用することができる柔軟な働き方です。

急速な少子高齢化とそれに伴う生産年齢人口の大幅な減少などで社会構造が変化するなか、テレワークの活用は労働力不足の解消や地域の活性化、仕事と育児・介護・治療との両立、人材確保・離職防止など、社会が抱える様々な課題の解決に資すると考えられています。

テレワークによる働き方は、所属オフィス以外での勤務となるため、仕事と仕事以外の切り分けが難しく、長時間労働になりやすい傾向にあります。

また、中抜け時間などテレワーク特有の事象があることから、適切な労務管理が求められます。

厚生労働省は、2025年7月にガイドラインを改定。

テレワークの導入および実施にあたり、労務管理を中心とした労使双方にとって留意すべき点や望ましい取り組みなどを明示し、さらなる普及定着を図る方針です。

法令の適用

労働基準法上の労働者がテレワークを行う場合は、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法などの労働基準関係法令が適用されます。

テレワークにおいても、時間外、深夜または法定休日に業務を行った場合(以下、時間外労働等)は、時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)の締結・届出や割増賃金の支払いが必要となります。

テレワークにおける労働時間の管理については、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づき、労働時間を適切に把握しなければなりません。

勤怠管理の方法としては、テレワークに使用する情報通信機器の使用時間による記録や、サテライトオフィスへの入退場の記録など客観的な記録での管理が推奨されています。

また、労働時間の自己申告制とする場合は、労働者にその実態を記録することについて十分な説明を行い、記録された時間と実際の労働時間に乖離があるときは検証・補正するなどの対応をしつつも、労働者の申告を阻害しないように留意しましょう。

勤怠管理上の留意点

テレワークでは、労働者が一定程度業務から離れる「中抜け時間」が生じます。

労働基準法上は、始業および終業時刻のみ確認することで問題はありません。

中抜け時間を把握するには、使用者が業務の指示をしないこと及び労働者の自由利用が保証されていることが前提となります。

中抜け時間を休憩時間とする場合は、就業規則などに就業時刻の変更がある旨を記載した上で、労働者の報告に基づいて、始業時刻の繰り上げまたは終業時刻の繰り下げを行うとよいでしょう。

また労使協定を締結した場合は、「中抜け時間」を時間単位の年次有給休暇の取得として取り扱うことも可能です。

通勤時間や出張中の移動時間については、使用者の明示または黙示の指揮命令下で行われる場合は、労働時間に該当します。

就業場所間の移動時間も、業務に必要な移動を命じるなど使用者の指揮命令下に置かれている場合は、労働時間に該当します。

一方、労働者の都合により移動し、その間の自由利用が保障されている場合は、法的には休憩時間として取り扱うことが可能です。

また、労働時間外等について事前許可制や事後申告制を適用している場合、労働者の申告がない、もしくは許可しなかった場合でも、業務量が過大であったり、明示または黙示の指揮命令があったと解し得る場合には、労働時間とみなされることがあります。

使用者はテレワークにおける勤怠管理のルールを明確にして労働者に周知し、必要に応じて労働時間や業務内容などの見直しを行うことが重要となります。

労働時間制度における運用

テレワークは、労働基準法上の労働時間制度で実施可能な働き方です。

現状の労働時間制の下で一部導入することが可能である一方、テレワークを中心とした働き方する場合には、労働時間制度を変更して運用することも可能です。

通常の労働時間制度および変形労働時間制においては、一律に在籍し一定時間に勤務する必要がない場合は、就業規則などに明示することにより、テレワークを行う労働者ごとに始業および終業時刻を自由に変更し、設定する運用が考えられます。

フレックスタイム制は、労使協定の締結および就業規則などに定めた一定の期間について、あらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が始業および終業時刻、労働時間を決定することができる制度です。

テレワークと併用することにより、在宅勤務の日は労働時間を短縮し、オフィス勤務の日は労働時間を長くするなど、労働者の都合に合わせて効率的に働くことが可能です。中抜け時間についても、労働時間を調整することにより柔軟に対応することができます。

さらに、企業の実情に応じて必ず勤務しなければならない時間帯である「コアタイム」を設定する場合には、オフィス勤務を求める日は設け、テレワークの日は設けないなど業務の効率化を図ることも可能となります。

みなし労働時間制度等での運用

事業場外みなし労働時間制は、労働時間の一部または全部について、事業場外で業務に従事した際、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な場合に、所定労働時間または業務の遂行に通常必要とされる時間を労働したものとみなす制度です。

テレワークにおいては、情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと、またその業務が随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないことのいずれの要件も満たす場合にのみ適用することができます。

また、テレワークは裁量労働制においても適用することができます。

裁量労働制は、労使協定や労使委員会で決議した時間を労働時間とみなし、業務遂行の手段や時間配分の決定に使用者が具体的な指示をしないことが要件となります。

対象は、省令・告示により定められた専門性の高い20業務、あるいは事業の運営に関する企画、立案、調査及び分析の業務に従事する労働者です。

運用においては、労働者の健康確保の観点から、勤務状況を把握し、適正な労働間管理を行う責務があります。

定期的に実労働時間とみなし労働時間の乖離を確認し、設定されたみなし労働時間が適切であるか、労使で確認する機会を設けることが重要です。

結果次第では、業務量の見直しや労働時間の実態に合わせたみなし労働時間の再考が必要となります。

長時間労働への対策

テレワークによる長時間労働を防ぐには、時間外や休日における業務指示や報告に関するメールの送付を抑制したり、システムへのアクセスを制限するとよいでしょう。

時間外労働等については、業務可能な時間帯や時間数など勤怠に関するルールを設け、労働管理システムを活用し超過した場合は自動で警告を発信するなどで注意喚起を行うことも効果的です。

テレワークを推進するなかで、従来の業務遂行方法や労務管理の在り方を見直すことは、生産性の向上につながります。

労使双方にとって有益となるように推進していきましょう。

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